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●第2章 アルバム「サブローサ」


JESSE HARRIS


愛するブラジル



音楽家として世界的な評価を得たジェシーは、ある日美しい女性に出会う。彼女はモデルとして活躍するほどの美貌を持っていた。2人は恋に落ち、ニューヨークで共に暮らしはじめる。彼女は、ジェシーやジェシーの周りに集うクリエイティブな仲間たちとの出会いをきっかけに、写真を撮りはじめ、自分で曲を作るようになった。自分の心の中にだけ写していた風景や鳴っていた音を外へ向けて放ちはじめた。  

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ジェシーは彼女と共に何度も旅に出た。行く先々で、彼女は2人が過ごした空間や彼女の目を通して写るジェシーを撮影した。ジェシーと彼女が時間を重ねる度に彼女の作品が誕生しているようだった。ジェシーは、写真家としての彼女に非凡な才能を感じた。2人が一緒に過ごした場所の中で、とりわけ気に入ったのは、ブラジルだった。ジェシーは、子供の頃からブラジル音楽が大好きだった。2人の間も2人とブラジルの関係も、相思相愛だった。

 

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愛のある風景


 ジェシーの新作レコーディングは、2人が愛した場所、ブラジルに決まった。ジェシーは、彼女との思い出と一緒にブラジルへ旅立った。そこに彼女はいなかった。2人の関係には、終わりが訪れていたのだ。それでもブラジルは、ジェシーのパーソナルな状況の変化はおかまいなしに、以前と変わらない様子でジェシーを迎えてくれた。

トロピカルな気候に陽気な人々。ニューヨークと違い、昼間からビールを飲んで、人々の心の動きに従って時が流れているようなブラジル。その土地で、根っからのブラジリアンが奏でた音楽とジェシーの内面にある別離の悲しみや儚い思い出が描かれている歌詞が重なった。さらに、ニューヨークの仲間たちの音源も加わり、ニューヨークから赤道を挟んだ下に位置するブラジルで録音された楽曲が作り上げられた。タイトルは「サブローサ」。“薔薇の下”=“密かに”を意味する。その作品のビジュアルを飾るのは、かつての恋人が撮影したブラジルでの写真だ。

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Text by Rie Iwaki



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