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#2 写真の力

実家が出版社だということもあって、家には写真と本が溢れていたという彼女は、気づいた頃にはカメラと写真がすきだった。小学生のとき、はじめて自分のカメラを持った。写るということだけでも、彼女にとっては面白かった。
中学生になると、父から一眼レフをもらった。高校生の頃は、カメラを持つ事で、人との会話やコミュニケーションがうまれるということに気がついた。話したことの無いような人とも話すようになり、いつもカメラを持ち歩いた。

高校を卒業した彼女が選んだのは、美大という場所。高校時代はすごい変わり者だったわけではないが、自分のなかになんとなくあった周りとの違和感というものが、美大に入って解消された。自分と同じような環境の人がたくさんいたことで、とても落ち着く場所になった。

これはそんな彼女が美大在学中に撮った1枚の写真。
モノクロで映し出されているのは、布団に寝そべるふたりの男女。
布団に寝ているのは、実は彼女の両親だ。別居している二人であったが、彼女の部屋の同じ大きい布団に寝てもらい、撮影をした。
普段であれば、二人が一緒の布団で寝るというシチュエーションはあり得ないが、写真として残る事で、それはまるで普段の本当の姿のように感じられる。

この写真の面白さはそれだけではとどまらず、二人の関係性がこの写真によって変わったということにもある。撮影した当初はぎこちなく、距離感のあった二人であったが、この写真をきっかけにまた二人で同居することになったのだ。

写真という芸術には、何かのきっかけになる可能性がある。
彼女が写真の力を強く感じた瞬間だった。

Photograph : Degawa Koh

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